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【2023年】化粧品・コスメのEC市場規模や業界が抱える課題と対策を解説

2023年9月21日 15:00

スマートフォンやインターネットの普及により、急速に発展してきたEC市場。2020年に世界中で感染が拡大した新型コロナウイルスにより、その需要はさらに高まりました。化粧品・コスメ業界においてもECという販路が注目され、多くの企業がEC事業に乗り出しています。

しかし、業界特有の事情により、化粧品・コスメのEC化は課題が多く、売上を上げるのが難しい側面があります。今回は、市場規模や業界が抱える課題からみる、化粧品・コスメのECサイトで売上を伸すための対策をご紹介します。

化粧品・コスメのEC市場規模

経済産業省「令和3年度 電子商取引に関する市場調査 報告書」

まず、物販系分野全体のEC化率・市場規模を見てみると、経済産業省が2022年8月に公開した「令和3年度 電子商取引に関する市場調査 報告書」では、2021年におけるEC化率は8.78%。市場規模は13兆2,865億円にものぼります。5年前の2016年と比べるとEC化率は3.35%、市場規模は5兆2,822億円増加しています。

次に、分野別のEC化率を見ていきましょう。

経済産業省「令和3年度 電子商取引に関する市場調査 報告書」

上記の表のとおり、2021年の化粧品、医薬品分野のEC化率は7.52%、市場規模は8,552億円です。化粧品のみになれば、規模はもう少し小さいものとなります。

一方で、生活家電、AV機器等のEC化率は38.13%、書籍、映像・音楽ソフトにおいては46.20%となっており、化粧品、医薬品のEC化率と比べると大きく差が開いています。この調査結果からも分かるとおり、化粧品・コスメのEC市場規模はあまり大きくなく、比較的EC化は遅れているといえます。

化粧品・コスメのEC業界が抱える課題

化粧品・コスメ業界のEC化には、次のような課題があります。

  • 化粧品を販売するオフライン店・販売代理店が全国にある
  • 化粧品EC未利用ユーザーの中には不安や不信感を抱いている
  • 新規顧客の獲得が難しい
  • Webマーケティングの難易度が高い

ドラッグストアやショッピングモールには、さまざまな種類の化粧品・コスメが展開されており、日常生活の買い物ついでに購入可能。実際に試せる環境もあって、オンラインよりもオフラインでの購入に利便性を感じる人が多い傾向にあります。また、過剰で過大なインターネット広告に不信感を抱いている人も多いため、オンラインでの売上が伸びにくいのが現状です。

化粧品を販売するオフライン店舗が全国にある

化粧品は百貨店をはじめ、ショッピングモールやドラッグストア、雑貨店、コンビニエンスストアでも取扱いがあります。とくに、ドラッグストアは全国的に展開されており、若年層から中年層まで幅広い年代からのニーズが高いプチプライスコスメも多く取り扱っています。ドラッグストアであれば、日用品の買い出しのついでに化粧品も購入可能。テスターで試せることもあって、わざわざECサイトを利用する必要がありません。

このように、化粧品・コスメにおいてはオフライン店舗で購入する方が利便性が高いため、ECでの売上が伸びにくい傾向にあります。

ユーザーが化粧品ECに対する不信感を抱いている

インターネットやSNSなどを見ていると、化粧品広告を目にすることがあります。これらの広告では、「初回限定○%オフ」をオファーしていることが多いです。しかし、蓋を開けてみれば定期購入が条件で、2回目以降は高額を支払う必要があるケースが見受けられます。

このようなトラブルを引き起こす恐れのあるサイトや表記について、2022年6月の特定商取引法の改正により規制が強化され、厳しい罰則が設けられるなど、詐欺的商法から消費者を守る動きが強まっています。また、昨今ではSNSで検索すればすぐに口コミが出てきます。契約したのは良いけど、なかなか解約できないといったトラブルを目にすることも珍しくありません。

このような理由から、化粧品ECに対して不信感を抱いている人が多く、EC化しても売れない可能性が高いのが現状です。

新規顧客の獲得が難しい

経済産業省と日本化粧品工業連合会(東京都港区)が立ち上げ、産学官で構成される化粧品産業ビジョン検討会が令和3年4月に公開した「化粧品産業ビジョン」によると、2019 年の売上高による国内化粧品市場のメーカーシェアを見ると、1位から順に資生堂グループ(市場シェア13.2%)、花王グループ(同12.1%)、コーセーグループ(同7.3%)、 P&G(同3.7%)、ポーラ・オルビス(同3.0%)の上位5社で約4割、上位10社で約5割を占めています。

残りの5割においても、中小企業が顧客を奪い合う熾烈な戦いを繰り広げています。つまり、化粧品業界はすでにレッドオーシャンと化しているため、EC化しても新規顧客の獲得が難しい状況にあるのです。

Webマーケティングの難易度が高い

前項で説明したとおり、化粧品業界はレッドオーシャンとなっています。Webでの販促においては、広告の出稿やSEO対策、SNSでの発信などが考えられますが、いずれにしても大手企業をはじめ多くの企業が当たり前に行っているため、難易度が高まっています。

Web広告は、出稿費が高騰しています。そのため、販売促進費やマーケティング費をかけなければ、広告表示の権利を勝ち取れません。2018年以降のGoogleのアルゴリズムアップデートにより、個人のレビューブログ等が上位に表示されることが減少したことで、口コミやレビューを参考に購入を検討しているユーザーを獲得するため、アフィリエイターにレビューブログの作成を依頼しても、効果として期待はあまり見込めません。

化粧品・コスメのECサイトで売上を伸ばすための対策

化粧品・コスメ業界のEC展開は課題が多いため、なかなか売上を伸ばすのが難しい現状があります。しかし、なかには下記のような対策を行い、上手に売上を伸ばしている企業があるのも事実です。

  • ユーザーレビュー機能を活用する
  • オンライン接客ツールを活用する
  • 定期購入機能を活用する
  • SNSやライブコマースを活用する
  • 実店舗やポップアップストアを利用する
  • 物流面を整える

Webマーケティングに力を入れるのはもちろん欠かせないことですが、その難易度は年々高まりを見せています。また、検索エンジンやSNSは、アルゴリズムによりユーザーの好みに合わせて表示を変えます。いわゆるフィルターバブル状態になっているため、リーチできるユーザーに偏りが出る可能性が多いにあります。

その点を踏まえて導入したいのが、「実店舗やポップストアの利用」です。とくに、全国に店舗があり、利用機会の多いドラッグストアや郵便局でのサンプリング配布や広告表示は多くの人に知ってもらう良い機会となるでしょう。

ユーザーレビュー機能を活用する

ユーザーレビュー機能とは、実際に商品を購入したユーザーが使用感や問い合わせ時の企業とのやり取りの評価を投稿できる機能です。EC市場が拡大し、インターネット通販が当たり前になった昨今では、どのECサイトにも必須といえる機能でしょう。

悪い評価が付くこともありますが、これは自社にとって貴重なフィードバックです。企業側からでは見えてこないECサイトの使用感や配送方法、商品の欠点などの改善につなげられます。使いやすさや商品の質が向上すれば、売上を伸ばしやすくなるでしょう。

オンライン接客ツールを活用する

オンライン接客ツールとは、チャットボットやWeb会議サービスのZoomなど、オンライン上での接客を可能にするツールのことです。化粧品・コスメECには、「実際に試せない」「美容部員に相談できない」といった課題がありますが、オンライン接客ツールを活用すれば、この課題は解決可能。クロスセルやアップセルの提案による売上増加も見込めます。

また、小さな子どもがいる、仕事が忙しいといった理由で、実店舗で化粧品をゆっくり選ぶ暇がない人にとっては、オンライン接客はありがたいサービスとなるでしょう。

定期購入機能を活用する

化粧品は、ほぼ毎日使用する消耗品です。定期的に購入の必要がありますが、忙しいとつい購入を忘れてしまうこともあります。そこで有効なのが、定期購入機能です。企業側としては売上が安定するのはもちろん、ユーザー側にとっても買い忘れを防げるメリットがあります。また、商品を選んでカートに入れ、カード情報を入力するといった地味に手間のかかる購入手順を省略できるのも、ユーザーにとっては魅力的な点でしょう。

SNSやライブコマースを活用する

化粧品ECにおけるWebマーケティングの難易度が高まっているとはいえ、SNSやライブコマースを活用すれば勝機はあります。

SNSは無料で利用できるので、企業アカウントで商品の詳細や使用方法を発信すれば、広告費を抑えられます。また、ユーザーの投稿を取り上げたり、ライブ配信でコメントを読み上げたりしてユーザーと直接コミュニケーションを取ればファン化を促しやすくなるでしょう。

実店舗やポップアップストアを利用する

これまで実店舗やポップアップストアなど、オフラインでしか購入したことがないユーザーに、ECサイトでの購入を促すのも一つの手です。

そこで大切なのが、顧客情報の共有です。たとえば、実店舗ではポイントが付与されるのに、ECサイトでは付与されないとなると、いくら利便性が高くてもECサイトでの購入を嫌煙するユーザーが一定数出てきます。つまり、ECサイトでの購入体験が実店舗と同等、もしくは実店舗を上回るようにしておく必要があるということです。

また、新規顧客の獲得においては、とにかく顧客との接点を増やすことが重要です。広告の出稿やSNSでの露出はもちろん、ドラッグストアや郵便局でのサンプリング配布なども認知度向上および新規顧客の獲得に効果が期待できます。

物流面を整える

「早く」「安全」に商品が届くことが当たり前になっています。そのため、これからEC事業を展開する場合は、品質を保ちつつ効率良くユーザーの手元に届けるための物流の仕組み作りが必要です。これは、コスメ・化粧品ECにおいても、例外ではありません。むしろ、肌に直接触れる化粧品の質は、高い安全性が求められる商品です。そのため、自社で倉庫を管理する場合は、衛生管理について、予め時間ごとに確認すること等をマニュアル化し、作業員に対して周知が必要です。

また、購入いただいたお客さまへ、未利用商品や新商品のサンプル、チラシなど、お客さまのセグメントに応じたロイヤリティプログラムをマーケティングチームと物流チームが協力して取り組む必要があります。

日本郵便では、化粧品業界の事業規模や物流作業に応じた物流実績があり、商品の保管からピッキング、流通加工、配達だけでなく、顧客セグメントに応じて、サンプル品やチラシを分けてピッキングするといったきめ細やかな対応が可能です。

また、物流サービスにお任せいただく際には配送において、3cm以下の商品はゆうパケットにする等して配送サービスを使い分ける等配送コストの低減に貢献するご提案をいたします。自宅や宅配ロッカー、郵便局、コンビニなど、受取可能な場所を豊富に用意しており、ユーザーのライフスタイルに最適な配達を提供できます。

まとめ

化粧品・コスメのECは、戦略次第では売上を上げることも可能です。インターネットやSNSはパーソナライズ化されており、新規顧客にリーチしづらいため、原点回帰して実店舗でのサンプリング配布や広告出稿を行うのが特におすすめです。実際に試して気に入ってもらえれば、ECサイトでの売上に繋がっていくでしょう。

しかし、「届くのが遅い」「輸送箱がへこんでいた」など、輸送面に問題があるとリピート率が落ちるおそれがあります。そのため、物流面を整えることもEC戦略においては大事な点です。

日本郵便では、全国を網羅する郵便・物流ネットワークを活用したワンストップ物流サービスを提供しています。利用企業様からは、複数拠点からの出荷による配送リードタイムやコストの低減ができ、物流加工においても好評を得ています。また、消費者にとって身近な存在であるからことから物流面だけでなく、企業様の信頼を底上げするお手伝いもできると考えます。物流面の改善を図り、化粧品・コスメECを軌道に乗せたい企業様はぜひ一度、ご相談ください。

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