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物流コスト削減のための施策は?4つのアイデアや費用の種類・コスト比率の推移を解説

2024年3月29日
人手不足のトップ写真

出荷量の増加にともない、頭を悩ませる物流コストの上昇。コスト削減に取り組みたいものの、何から手をつければよいかわからないという経営者や部門責任者の方も多いのではないでしょうか。

日によって出荷数量が大きく変動する物流の現場では、人員の確保が難しく、最小限の人数で対応することも多いのが実情です。そのため作業効率の低下や人的ミスによるロスが発生しやすく、結果的に物流コストの上昇にもつながります。物流コストの削減には、倉庫作業の他にも運送面・管理面の最適化が不可欠です。

この記事では、物流コストに含まれる費用の種類から削減・改善策までを具体的に解説します。無駄な工程を見直し、生産性の向上と物流コストの適正化を目指しましょう。

物流コストとは物流にかかるすべての費用のこと

荷物を運ぶトラックのおもちゃの写真

物流コストとは、物流にかかるすべての費用の総称です。生産者から消費者に届くまでの一連の工程で発生する人件費や光熱費なども含まれています。

内訳を大別すると、「輸送・配送費」「荷役費」「保管費」、物流全体を管理する「物流管理費」で構成されます。物流コストの削減に向けて、各費用に含まれる内訳を見える化し、工程ごとのムリ・ムダ・ムラを洗い出しましょう。

売上高における物流コストの比率は上昇傾向

売上高と物流コストの比率を表した図

売上高物流コスト比率とは、売上高に占める物流コストの割合を指します。以下は、全業種を対象にした過去20年間の売上高物流コスト比率の推移を表したグラフです。

2022年度は、売上高物流コスト比率に若干の減少があるものの、全体的に上昇傾向にあります。2021年には過去最高の5.7%を記録しました。

売上高物流コスト比率の推移(全業種)の図

日本ロジスティクスシステム協会|2022年物流コスト調査報告書【概要版】

さらに、以下の物流コストの物流機能別構成比を見てみましょう。全業種における物流コストの物流機能別構成比は輸送費が55.1%と最も高い比率を占めています。

業種大分類別にみた物流コストの物流機能別構成比の図

日本ロジスティクスシステム協会| 2022年物流コスト調査報告書【概要版】

これら2つの調査報告から、物流コストが上昇する背景には、燃油費高騰や人手不足による物流事業者の値上げがあると推察できます。

次に、構成比を業種別に見てみましょう。小売業だけ、その他(包装費、荷役費、物流管理費)の項目が輸送費を上回っているのが分かります。

これは、小売業の商品の多くが個人消費者向けであることに起因しています。個人向けの通販は商品数が多く、ギフト包装や個別の梱包対応、顧客データ管理など細かい工程が多いのが特徴です。その分、他の業種に比べてその他の項目の比率が高くなっていると考えられます。

このように物流コストが上昇している原因は、業種によっても異なります。調査結果を参考に、自社はどの費用項目が上昇しやすいのかを考え、コスト削減対策をしていきましょう。

物流コストを構成する費用の種類

フォークリフトの写真

物流コストを削減するには、自社の物流コストを圧迫している費用項目を明確化する必要があります。

まずは、物流コストがどのような費用項目で構成されているかを理解し、自社の物流コストに含まれる費用を可視化しましょう。

以下、物流コストを構成する費用項目の概要です。

種類 内容
輸送・配送費 荷物の運送に関わる費用。燃料費やドライバーの人件費も含む
荷役費 荷物の入出庫にかかる費用および人件費
保管費 倉庫や保管場所の賃料および火災保険料
物流管理費 管理システムの開発・維持費やバックヤードの人件費

それぞれの項目について、詳しく見ていきましょう。

輸送・配送費

輸送・配送費とは、商品の配送にまつわる費用の総称です。運送費と同じ意味で使われることもあります。輸送・配送費は、トラックを保有して自社で輸配送を行う場合とアウトソースする場合で項目が変わります。輸送・配送費に含まれる具体的な費用項目は、以下のとおりです。

含まれる主な費用の種類(アウトソースする場合)

種類 内容
小口配送料金 宅配便や路線便などを利用した際に発生する小口配送にかかる料金
車両チャーター料金 トラックごとチャーターする際に発生する大口配送にかかる料金

含まれる主な費用の種類(自社物流の場合)

種類 内容
燃料費 自社トラックのガソリン代
車両の減価償却費 自社トラックの購入代金を分割して計上する費用
人件費 配送にかかるドライバーの人件費

荷役費

荷役費とは、荷物の入出庫時に発生する作業にかかる費用です。包装・梱包費、流通加工費もこの項目に含める場合があります。具体的な内容は以下をご参照ください。

含まれる主な費用の種類

種類 内容
入出庫費 入庫、出庫時の作業費用
ピッキング費 商品を棚から取り出す作業にかかる費用
包装・梱包費 商品の袋詰めおよびパッキングにかかる作業費用
流通加工費 ラベル貼りやセット組、ギフト梱包などの加工にかかる費用

保管費

保管費とは、荷物の保管にかかる費用全般を指します。具体的な内容は、以下のとおりです。

含まれる主な費用の種類

種類 内容
倉庫維持費 物流倉庫の光熱費などの維持費
倉庫賃借料 物流倉庫の賃料
マテハン費 フォークリフトなどハンドリング機器の導入・メンテナンス費
倉庫人件費 倉庫で作業に従事するスタッフの人件費
火災保険料 荷物の保管場所にかける火災保険料

アウトソースする場合は、「保管料」として上記のすべてを含めて、按分した料金になっていることが一般的です。

物流管理費

物流管理費とは、受発注管理から倉庫管理、在庫管理などのシステム導入費用や運用・維持費および管理に関わる人件費などを指します。具体的な内容は、以下のとおりです。

含まれる主な費用の種類

種類 内容
システム開発・導入費 管理システムを開発もしくは導入する際の初期費用
システム運用・維持費 管理システムを運用・維持していくための費用
人件費 バックヤードスタッフの人件費

物流コスト削減・改善のための施策例

コストダウンのイメージ図

物流コストの削減、改善のためには具体的に以下のような施策が有効です。

  • 輸配送改善、輸配送経路の見直し
  • 適正な在庫管理・保管改善
  • 自動化・機械化の推進
  • 3PLや4PLにアウトソースする

それぞれの施策について、詳しく見ていきましょう。

輸配送改善、輸配送経路の見直し

物流コストの削減でまず見直したいのが、輸送・配送費です。

輸送・配送費を削減するには、さまざまな方法があります。トラックへの積載率向上は、そのひとつです。商品の梱包箱や輸送タイミングの見直しなど、1社単位でできる工夫のほか、混載便やトラック・コンテナにおける帰り便の利用など、他社と協力して輸送・配送費を抑える方法も考えられます。他社と協力する場合は、物流サービスの利用もひとつの手です。また自社物流では、輸配送経路の最適化やエコドライブも重要になるでしょう。

全業種において物流コストの大部分を占める輸送・配送費の見直しは、物流コスト削減の近道といえます。

適正な在庫管理・保管改善

適正な在庫管理や保管効率の改善は、保管費の削減効果があります。

在庫数を正確に把握し、可視化できれば、在庫過多による余分な保管料の削減が可能です。定期的な在庫回転率の算出により、適正在庫を保てます。

また保管効率の改善には、商品の特性にあわせた保管方法の選択が考えられます。商品ごとに保管場所を定めて作業効率を高める「固定ロケーション」と保管効率を重視する「フリーロケーション」、どちらが良いかといった観点はそのひとつです。

在庫管理やロケーション管理には、倉庫管理システムや在庫管理システムの活用が有効でしょう。保管費は在庫がある限り、毎月発生する費用です。定期的に見直しを図ってみてください。

自動化・機械化の推進

物流オペレーションの自動化・機械化により、大幅な省人化と効率化が実現可能です。

たとえば、商品情報読み取りをバーコードからRFID(Radio Frequency Identification)にすることで、複数の商品を一括でスキャニングできます。入出荷検品やピッキングなどの作業効率化に有効です。またピッキングロボットや自動搬送ロボット、自動倉庫の活用により、人的ミスをなくし作業効率を大幅にアップできます。

こうしたオペレーションの自動化・機械化には、初期投資が必要です。しかし作業や荷役にかかる人件費を削減できるため、長期的にみると物流コストの削減につながるでしょう。

3PLや4PLにアウトソースする

物流業務のアウトソースも物流コストの削減につながる可能性があります。3PL(サードパーティー・ロジスティクス)とは、倉庫管理業務を第三者に外部委託することです。対する4PL(フォースパーティー・ロジスティクス)とは、3PLに加えて物流戦略や企画などのコンサルティング領域までを委託する形態を指します。

自社で人員と保管場所を確保している場合、閑散期の入出荷量が少ない時期でも人件費や倉庫維持・管理費は固定費として支払い続けなければなりません。3PLや4PLで物流をアウトソースすれば、入出庫量に伴い、物流コストが変動費になります。

3PLや4PLのいずれも物流のプロが請け負うため、作業効率が向上。その結果、物流コスト全体の削減につながるでしょう。4PLなら、コスト削減の施策も含めて相談できます。企業の物流コストを最適化するうえで、大きな効果が期待できるビジネスモデルです。

物流コストの削減は日本郵便にご相談ください

日本郵便の社員の写真

日本郵便では、EC事業者の物流業務を支援するソリューションを提供しております。物流コストの削減に関するお悩みも、お気軽にご相談ください。

日本郵便では、以下の特徴を持つ物流ソリューションサービスにより、物流コスト削減のお手伝いをします。

  • フレキシブルなアウトソーシング
  • 事業規模にあわせて、小ロットからでもご利用可能です。
    スポット対応や、一部の工程のみでも対応可能なので、保管費や人件費が削減できます。

  • システム構築と物流業務をフルサポート
  • BtoB向けECサイトの構築に対応しています。
    Yahoo!ショッピング、楽天市場、Amazonほか各種ECサイトとクラウド型WMS(倉庫管理システム)の連携や、複数ECサイトの一元管理にも対応可能です。
    適正在庫の把握と管理作業の効率化を同時に実現し、保管費や物流管理費の削減が可能です。

  • 全国の物流拠点のご提案
  • 拠点の分散化により、運送費の削減が可能です。

また、自然災害等からのリスクヘッジや最適な拠点配置について日本郵便がご提案します。

物流コストの削減を検討しているがノウハウがなくお悩みの方は、ぜひ一度日本郵便にご相談ください。

参照: ワンストップ物流ソリューション

まとめ

近年、売上高に占める物流コスト比率は上昇傾向にあります。

さらに、働き方改革法案により、2024年4月1日以降はトラック運転者の時間外労働が規制されるため、国内の輸送力が不足すると予想されています。各運送会社は売上を維持できるよう、配送料金の値上げを検討しているということです。こうした背景から、物流コストの削減は各企業において急務であるといえます。

日本郵便では、お客様の企業規模やニーズにあわせた柔軟な物流ソリューションサービスを提供しております。一部工程のみのアウトソース、お客様の必要な機能のみをおさえたシステム設計などにも対応しており、導入コストを最小限におさえられます。

物流コストの見直しについて、お客様と密に連携し、最適なコスト削減の戦略をご提案します。まずはお気軽にご相談ください。

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