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ECサイト引っ越しの移行方法を解説!乗り換えの手順とポイントについて

2024年2月21日
物流倉庫の写真

現在使っているECサイトの機能が足りない、事業を拡大するためにもう少し使い勝手の良いECサイトにしたいと思った時、乗り換えの必要が出てきます。しかし初めてですと分からないことが多く、乗り換え先や手順などについてさまざまな疑問をお持ちではないでしょうか。

新しいECサイトの作り方もいくつかありますが、今回はASPへの乗り換え方法を中心に、データ移行の手順や移行を円滑に進めるポイントについて解説します。ECサイトの乗り換えを検討している方はぜひ参考にしてください。

ECサイト(ネットショップ)の乗り換え・引っ越しの方法

ECサイトの写真

ECサイトの切り替えには、主に3つの方法があります。

  • 他社ASPへのデータ移行
  • フルスクラッチによるショップの構築・データ移行
  • パッケージによるショップの構築・データ移行

これらの中で最も費用がかからず、簡単に行えるのが他社ASPへのデータ移行です。それぞれ詳しく解説します。

他社ASPへのデータの移行

現在利用しているASPから、新しいASPへとデータまるごと移行させる方法です。

自社でデータを移行し、新ASPでの既存テンプレートを利用するなら無料で行うことも可能です。

メリット デメリット
  • 費用が抑えられる
  • 専門知識がなくても使いやすい
  • 短期間で構築できる
  • 他の利用者もいるので使い方の情報を収集しやすい
  • カスタマイズ性が低いのでサイトのデザインが変わる
  • ユーザーインターフェースも変わる
  • システムや機能が限定的
  • 自社で行うのが面倒だったり難しかったりするなら、業者に依頼して移行してもらうことも可能です。その場合でも、数十万円で依頼できるでしょう。

    多くのASPで代行サービスが設けられていますので、時間もお金も節約したい企業におすすめの方法です。

    フルスクラッチによるショップの構築・データ移行

    フルスクラッチとは一からECサイトを構築する方法です。ASPのようなテンプレートを使用しないので、自由度が高いものの、時間も費用もかかります。

    費用は数千万円以上かかることもあり、そのコストを上回る売り上げが期待できる大企業がとる方法です。

    メリット デメリット
  • デザインや機能の自由度が高く、好きなようにカスタマイズできる
  • トラブル対応も自社で速やかにできる
  • 構築費用、維持管理の費用が高くなる
  • 新しいショップが稼働するまでに時間がかかる
  • サーバーや回線なども自社で用意しなくてはなりませんので、その分のコストもかかります。

    余程の資金力があり、ECサイト構築後も自社で管理できるだけの技術力が必要です。毎月の運用費もかかりますし、サイト制作に関するスキルを持った人材も必要となるため、ECを専業として売上の成長が続いている企業やプラットフォーム化やECサイトの制作代行など事業の幅を広げる予定がある企業に向いている方法です。

    パッケージによるショップの構築・データ移行

    あらかじめECサイトの運営に必要な機能がパッケージされた製品を使って移行する方法です。ハーフスクラッチと呼ばれることもあります。

    最低限必要な機能は揃っているため、一から全て作る必要はなく、費用は数百万円程度に抑えられるでしょう。

    メリット デメリット
  • フルスクラッチよりも費用や時間を抑えられる
  • ASPよりもカスタマイズ性が高い
  • パッケージ会社のサポートが受けられる
  • パッケージ導入後の定期的なアップデートが欠かせない
  • ASPよりもコストがかかる
  • 自社でサーバーを用意しなければならない
  • フルスクラッチはかなりの費用がかかるため、企業の規模が大きくないと導入が難しいです。その点パッケージは、ある程度の自由度が確保できる上に、構築期間も短くてすみます。フルスクラッチとASPの中間くらいだとイメージしてもらえれば良いでしょう。

    費用はできるだけ抑えたいが、カスタマイズ性の高いECサイトを構築したい人に向いています。

    ECサイトの乗り換え(引っ越し)の手順

    タブレットでデータを確認する人の写真

    ここでは、一般的な乗り換え方法である他社ASPを利用した引越しの手順について説明します。

    まず、乗り換え先を決定したら、新サイトのデザインを決めます。それから商品データなど各種データを移行し、新サイトでの設定を行います。動作確認をして問題なければ新サイトオープンの告知をします。
    それぞれの手順について、詳しく解説します。

    タブレットでデータを確認する人の写真

    ➀乗り換え先の決定

    どのASPに乗り換えるべきか、カートのシステムは様々な種類があるので、自社の課題を解決できる機能を持っているかどうかがポイントです。ECの乗り換えにあたり、引っ越しが必要だと判断した理由や目的があるはずです。その目的に沿っているかをよく考えましょう。

    乗り換え先の選定ポイント

    • 自社のブランドイメージやコンセプトを反映させられるデザインが可能か
    • 初期費用やランニングコストは予算内で収まるか
    • 今後の事業展開にも対応できるシステムか
    • 乗り換えに関してどのようなサポートを受けられるか
    • 誰でも使いやすいシステムか
    • セキュリティ対策がしっかりしているか
    • 決済機能が充実しているか
    • ASPの事業者は信頼できる会社か

    特に決済システムは重要です。総務省の情報通信白書「インターネット利用状況」によりますと、クレジットカード払いが79.8%と最も多くなっていますが、コンビニ払いや代引き、振込など従来の支払い方法に加えてネットバンキング、キャリア決済、電子マネーなどの支払い方法を選択する人も増えてきました。

    顧客のニーズに応えるためには、多様な決済方法に対応できるASPを選ぶことが重要です。

    ➁新サイトのデザイン決定

    手早く乗り換えを済ませたい場合は、ASPにあるテンプレートデザインを使います。オリジナルのデザインにしたい場合は、新しくサイトを作るときと同じようなデザインの工程が必要です。自社ですべてできれば良いですが、そうでない場合は外注することになります。

    こちらの予算や納期の条件に合う会社をいくつか絞り、その中で過去の実績なども含めてプレゼンテーションをしてもらいましょう。デザインの質だけでなく、対応の丁寧さ、コミュニケーションの取り方などをよく比較して、外注先を決めます。見積もりを取るときは、デザインだけでなく、htmlやCSSなどが含まれているかどうか確認することを忘れないようにしてください。

    新サイトの企画を元にサイトマップや各ページの構成などサイト要件を決めます。その要件を元にデザイン会社に提示してワイヤーフレームを作成してもらいます。ワイヤーフレームに沿ってデザイン制作に入りますが、その際、乗り換えの目的やサイトのコンセプト、公開までのスケジュールなどが正確に伝わっているか、確認しながら作業を進めてもらいましょう。

    ③旧サイトの商品情報の移行

    新サイトのデザインが決まったら、いよいよ商品情報を移行します。商品情報には、以下のようなものが含まれます。

    • 商品名
    • 商品画像
    • 説明文
    • 価格
    • 送料

    これらの情報を、旧サイトからCSVファイルでエクスポートし、新サイトへインポートします。多くのASPに一括ダウンロード機能がありますので、作業としてはそれほど難しくはありません。

    ひとつ注意する点としては、新旧サイトで商品データの項目を揃えておくということが挙げられます。項目がそろっていればデータをアップロードするだけで済みますが、項目が違うと、必要な部分だけを移行したり、一部手作業になったりするため、手間がかかります。

    ④下層ページの移行・見直し

    次に、下層ページの移行を行います。

    見直しが必要な要素

    • 会社概要
    • プライバシーポリシー
    • 特定商取引に基づく表記
    • ショッピングガイド、利用規約
    • よくある質問(Q&A)

    ECサイトの乗り換えに伴って内容に変更なければ、そのままコピペするだけで作業は完了します。ページが多い場合は、FTPを使用してアップロードするとスムーズです。

    もし、最初にECサイトを作った時から見直しをしていない場合は、情報が古くなっていないか、この機会に見直しておくことをおすすめします。

    ⑤新サイトの各種設定

    新サイトで各種設定を行います。以下のような項目が必要です。

    • 決済方法
    • カートページの設定
    • マイページの設定
    • レビュー設定
    • 在庫設定
    • 送料設定
    • ポイント設定
    • 各種受注関連のメールテンプレートを設定
    • 納品書および領収書の設定
    • アクセス解析などSEO関連タグの設置

    これらの情報は、ここまでやってきたデータの移行作業とは違い、新サイトで新たに設定し直すというイメージです。

    ⑥動作確認・テスト注文

    データを移行し、各種設定が済んだら動作確認です。公開する前に必ずテスト注文をし、購入画面がどのように遷移するのか、購入者へ送られるメール内容の確認などを行います。ユーザーと同じ目線でスムーズに注文ができているか、確認しましょう。

    また、注文を受けてから発送するまでの一連のオペレーションについても問題ないか、確認しておきます。

    ⑦新サイトオープンの告知

    データの移行や各種設定が完了し、動作テストも問題なければ、既存のお客様への連絡を行います。新サイトオープン後に、お客様が旧サイトでお買い物をしようとしたり、旧サイトが閉鎖されたと思って別のサイトに行ってしまったりすることを防ぐためです。

    メールやLINEで告知するとともに、確実に新サイトを見てもらうため、新サイトオープンキャンペーンなどの実施を検討しておくのもおすすめです。

    ⑧顧客データの移行

    お客様が利用できる状態になったら、旧サイトから顧客情報を移行します。多くのASPではCSVで一括ダウンロードし、アップロードすることが可能です。

    移行できる項目

    • 氏名、住所
    • メールアドレス
    • レビュー
    • ポイント
    • 会員ID
    • 購入履歴

    どこまで移行できるかは旧サイトの仕様によりますが、出力できるデータはほぼ移行できると考えて良いでしょう。

    パスワードについては注意が必要です。暗号化されているため抽出することが難しく、移行もできないことがほとんどです。

    移行できないと、新サイトでお買い物をしようとした時に改めてパスワードの登録が必要になるため、新サイトオープンの告知の際にパスワードが初期化されることについてもお知らせしておくと良いでしょう。

    ECサイトの乗り換えで移行できるもの

    タブレットでデータを確認する人の写真

    ECサイトの乗り換えのとき、主に以下の情報が移行できます。

    • 商品情報
    • 顧客情報
    • 売上情報

    商品情報は、商品名や商品画像、説明文、価格、送料などの基本的な情報です。

    顧客情報は、上記で説明した通り、氏名や住所などの個人情報のほか、購入履歴なども移行できます。

    売上情報は、いつ、どの商品を誰が買ったのかなどの受注データのことです。現在使っているASPによって移行できるデータが違うため、購入履歴だけでなく、売上を分析した情報についても移行できるのかどうかは、確認が必要です。

    ECサイトの乗り換えで移行できないもの

    タブレットでデータを確認する人の写真

    ECサイトの乗り換えの際、移行できないデータもあります。

    • ASPの独自サービス
    • ASPのドメイン
    • ページのコーディング

    ASPの独自サービスとは、そのASPでしか利用できないアプリなどのことで、当然ながら別のサイトでは使えません。また、独自ドメインを設定していなかった、もしくはできなかった場合は、現在使用しているASPのドメインを引き継ぐことはできないため、新ASPのドメインを使うか、新規に独自ドメインをとることになります。

    ページのコーディングも、現ASP独自のCSSなどになっていますので、そのまま移行はできません。

    ECサイトの乗り換えを円滑に進めるポイント

    タブレットでデータを確認する人の写真

    ECサイトの乗り換えを円滑に進めるためには、以下のポイントが重要です。

    • 乗り換えを行う目的を明確にする
    • 社内での要件のすり合わせを徹底する
    • 余裕を持ったスケジュールを立てる
    • データ移行の作業は分担や外注する
    • 乗り換え後のSEO対策を検討しておく

    それぞれ、詳しく解説します。

    乗り換えを行う目的を明確にする

    ECサイトを乗り換えようと思った理由があるはずです。乗り換えによってどのような課題を解決できるのか、乗り換えの目的をはっきりとさせることが重要です。課題の洗い出しができていないと、自社に適切なASPも選べないからです。

    乗り換えを行う目的例

    • スマホに対応したデザインに変更したい
    • カゴ落ちを減らしたい
    • サイトが使いづらく売り上げが伸び悩んでいるので使い勝手のよいサイトにしたい
    • 事業の拡大に伴い機能が足りなくなっているので機能を充実させたい
    • よりよいサポートをしてくれるASPに乗り換えたい

    課題を洗い出し、目的を明確にすることで、乗り換えに関する費用や期間も見えてきます。

    社内での要件のすり合わせを徹底する

    ECサイトの乗り換えにあたっては、社内で意識を統一することが重要です。目的を明確にしてから企画書を作成し要件定義を行いますが、実際に管理をする人と経営・売り上げに関わる人との視点が違う場合があります。作業が進んでしまってから担当者間の意見の相違などが出てしまうと、そこで作業がストップしてしまいます。

    乗り換え作業はただでさえ時間と手間がかかるものです。ECサイトの乗り換えに関わる人たちの認識が常に一致しているように、企画段階から丁寧な意見交換をし、合意を形成しておくことがとても重要です。

    余裕を持ったスケジュールを立てる

    円滑な乗り換えのためには、スケジュールを決めておくことが大切です。初めてのことですと思ったよりも手間がかかり、作業時間が足りなくなる恐れもあります。ASPへの乗り換えは3ヶ月ほどが目安ですが、移行するデータの内容や量、担当者の人数などによっても違ってきます。

    余裕がないとミスが増える原因になります。新サイトの公開に間に合わなくなることも想定されますので、できるだけ余裕を持ったスケジュールを立てることをおすすめします。

    データを移行する方法やかかる時間などをシミュレーションして、どのくらいの時間が必要なのか、事前に検証してから作業に入ると良いでしょう。

    データ移行の作業は分担や外注する

    データ移行の作業にミスがあると、新サイトをオープンにした後にトラブルが起こります。ミスを防ぐためには一人で作業をせず、必ず2人以上で分担し、チェックリストを作って確認しあうなど、作業体制を整えてから臨みましょう。

    すべて自社で行うのが難しい場合には、時間がかかりそうなところは外注するという方法もあります。まずは作業に必要な時間や工程を洗い出し、自社でできること、外注した方が効率の良いことを分けてみると、作業を進めやすいです。

    乗り換え後のSEO対策を検討しておく

    全てのデータを移行したら終わり、ではありません。旧サイトからドメインが変わる場合、SEO対策もしておかないと検索順位が下がってしまう可能性があり、集客に大きな影響が出てしまいます。

    サイトマップをGoogleに登録するとともに、新サイトへのリダイレクトを必ず行い、旧サイトに訪問した人たちを取りこぼさないようにしてください。その際、302リダイレクトではなく、必ず「301リダイレクト」にします。301は恒久的なリダイレクト、302は一時的なリダイレクトです。間違えないようにしましょう。

    まとめ

    ECサイトの乗り換えは、他社ASPへの移行するのが最も簡単で費用が安く済みます。どのASPが最適なのかは、ECサイトの乗り換えを行う目的を明確にすることでわかります。

    乗り換えの手順や移行できるデータとできないデータについても解説しました。ECサイトの乗り換えは時間も手間もかかります。余裕を持ったスケジュールを立て、社内でのすり合わせも徹底し、事前に準備をしっかりしておけばスムーズに進められるでしょう。

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