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物流アウトソーシングとは?委託するメリット・デメリットやサービスの比較ポイント

2023年12月21日 17:00
物流トラックが道路を走る風景

物流業務では、事業の成長に伴う出荷量の増加がつきものです。その際、人手不足や品質の低下が顕著になり、多くの企業が課題を感じ始めます。

そこで検討されるのが、物流のアウトソーシングです。品質の向上や繁閑への対応力強化、コスト削減といったさまざまな効果が期待できるため、物流業務への不安から開放されます。

今回は物流アウトソーシングで委託できる業務内容から、導入するメリット・デメリット、委託する際の流れ、委託する業者選定のポイントまで紹介します。導入の検討にお役立てください。

物流アウトソーシングとは物流業務全般を外部に委託すること

物流作業する女性

物流アウトソーシングとは、物流業務の全般又は一部を外部に委託することです。

入出荷、在庫管理、ピッキングなどの業務を、ノウハウを有した物流のプロに委託できます。保管スペースや人手不足の課題を自社物流で解消するには、固定費の増加が避けられません。

物流アウトソーシングでは、課題を解決しながら安定した物流品質を確保できます。

従来物流アウトソーシングの主流であった店舗向けなどのBtoB物流から、通販・ECに対応する個人宅向けのBtoC物流まで拡大し、その対応範囲も広がりを見せています。

物流アウトソーシングで委託できる業務内容

物流業社の倉庫イメージ

次に物流アウトソーシングで委託できる基本業務の詳細を解説します。
一般的にアウトソーシングできる業務は、以下のとおりです。

  • 入荷・検品
  • 在庫管理
  • ピッキング・梱包
  • 出荷・配送

入荷・検品

まずは商品を委託会社の倉庫で受け取り、入荷します。入荷の際に、商品と数量、外装ダメージがないかを検品。正しい商品が、傷や汚れのない状態で予定された数量分届いているかどうか確認します。

商品に不備があれば、そのまま入荷はせず、対応の指示を仰ぐといった対応をとる場合もあるでしょう。正しく入荷された商品は、倉庫内の保管場所で棚入れをします。

物流アウトソーシングでは、ハンディーターミナルによりバーコードを読み取るなどして倉庫管理システムへ情報を記録するなどの手法や、プロの目による精度の高い入荷・検品が期待できます。

在庫管理

入荷した商品は、適正に在庫を管理します。商品の型番、カラー、サイズ、使用期限、それぞれの数量、保管場所を把握するためです。

物流アウトソーシングを請け負っている多くの企業は、「倉庫管理システム(WMS)」を活用しています。入出荷の情報を正確に記録し、リアルタイムで在庫を「見える化」することで、在庫差異が原因の売り越しや売り逃しを防ぎます。

ピッキング・梱包

オーダーが入ると、棚から商品を取り出すピッキング作業を行います。類似商品をピッキングしてしまったり、数量を見誤ったりしないよう注意が必要です。

倉庫管理システムを活用している委託会社では、保管場所を情報で管理しているため、ピッキングミスが起こりにくくなります。

ピッキングした商品は、丁寧に梱包します。商品の大きさや壊れやすさを考慮し、適した梱包材と緩衝材を使用。委託会社では、あらかじめ梱包の仕方や梱包材・緩衝材の種類を相談し、細かく定める場合もあります。

梱包の工程では、納品書などの同梱物を間違いなく封入することも重要です。

出荷・配送

梱包まで準備が終えた商品は倉庫から出荷し、配送業者によって顧客のもとに届けられます。

添付する送り状の住所に誤りはないか、送り状の貼り間違いはないか、十分なチェックが必須です。誤出荷のないように、複数人によるダブルチェックやハンディーターミナルによるチェックを実施。

配送業者に集荷の依頼をして、ドライバーが到着次第、商品を引き渡します。委託会社では、出荷完了の報告や追跡番号を通知します。

物流アウトソーシングを導入するメリット

物流管理する男性

物流アウトソーシングを導入するメリットは以下の4つです。

  • コストを削減できる・明確にできる
  • 物流業務を切り離すことでコア業務に注力できる
  • 繁忙期や閑散期の影響を受けづらい
  • 3PLへの依頼で物流品質が向上する

コストを削減できる・明確にできる

物流アウトソーシングを導入するメリットの1つ目は、物流コストの削減および明確化ができることです。

自社物流では、人件費や設備費が毎月の固定費となり、閑散期には無駄が生まれやすくなります。一方、物流アウトソーシングにかかるコストは、荷動きの量に応じた変動費です。採用や教育にかかるコストを抑えながら、閑散期は無駄な費用をかけずに運用できます。

また委託により物流機能を分離できるため、物流コストが明確になります。自社物流では、物流以外の業務と兼任するケースがあるでしょう。保管スペースには、事務所の片隅を利用しているかもしれません。こうした要因から把握しづらい物流コストとその詳細が明確になり、管理がしやすくなるのです。

物流業務を切り離すことでコア業務に注力できる

2つ目のメリットは、物流業務を自社内から切り離すことでコア業務に注力できる点です。

出荷量が増えるにつれて、物流業務がリソースを圧迫してしまうことは珍しくありません。開発やマーケティング、営業などのコア業務が疎かになってしまっては、事業拡大のチャンスを逃してしまいます。

手のかかる物流業務はプロに任せ、自社内のリソースを最大限に活かすことで、利益の向上が期待できるでしょう。

繁忙期や閑散期の影響を受けづらい

3つ目は、繁閑の影響を受けづらくなることです。
数十社の物流業務を受託している企業では、多くの物流スタッフを抱えています。当日の出荷量に合わせて、現場の人数調整ができるため柔軟な対応が可能です。

繁忙期の出荷量に対応できず、リードタイムに間に合わなくなってしまったり、ミスが多発してしまったりするような事態を防げます。また繁忙に対応するための人材採用や教育に悩む必要もありません。

安定した物流の提供は、顧客満足度の向上にも寄与するでしょう。

3PLへの依頼で物流品質が向上する

最後は、物流品質の向上です。

なかでも3PLへ委託することで、倉庫内の業務だけでなく、物流業務全般の改善が実現できます。なぜなら3PLは物流業務を企画・設計から包括的に請け負う業態であるため、物流のプロによる最適化が可能だからです。

たとえば、在庫拠点を関東と関西に分散して、配送リードタイムの短縮や配送コストの削減、災害発生時などのリスクヘッジが可能なケースがあります。全国に拠点を有している3PLであれば、改善提案が可能です。

他にも商品の特性にあわせた物流システムの構築やオペレーション設計など、ノウハウを活かした総合的な物流品質の改善が期待できます。

物流アウトソーシングを導入するデメリット

デメリット イメージ画像

物流アウトソーシングを導入するには、デメリットも存在します。納得のうえ、検討できるように必ずチェックしましょう。

  • 細かい要件があるとコストがかさむ場合がある
  • 委託すること自体が難しい業務もある
  • 自社に物流のノウハウを蓄積できない
  • トラブル発生時の責任の所在が曖昧になる

細かい要件があるとコストがかさむ場合がある

細かい要件がある場合、コストがかさむ可能性があります。一般的に、工数とかかる時間に応じて見積もりが算出されるため、要件が多いほどコストもかかります。

流通加工や受発注業務、複雑な同梱作業、専門的な検品作業など、基本業務以外に委託したい内容があれば洗い出しておきましょう。契約前の見積もり時点で、発生しうる業務を詳しく共有できれば、コストに関するギャップを最小限に抑えられます。

委託すること自体が難しい業務もある

委託が難しい業務があることもデメリットのひとつです。

納品リードタイムや低価格でのサービス提供を優先している委託会社では、基本業務のみを対応範囲と している可能性があります。ここでも流通加工や受発注業務、複雑な同梱作業、専門的な検品作業は、 あらかじめ委託可能か確認する必要があります。

物流のアウトソーシングは、委託会社によって得意領域が異なると覚えておきましょう。

自社に物流のノウハウを蓄積できない

物流業務を委託すると、自社にノウハウを蓄積できないこともデメリットです。

物流は従来、利益を生み出さないコストセンターと捉えられてきましたが、昨今ではプロフィットセンターと捉えて投資をする企業も増えてきました。いざ、自社で物流を内製化しようと考えた際に、ノウハウがない状態ではその一歩を踏み出せません。

委託できたからといって任せきりにするのではなく、積極的な現場視察やコミュニケーションでノウハウの共有を図りましょう。

トラブル発生時の責任の所在が曖昧になる

トラブル発生時に、責任の所在が曖昧になりやすいことも懸念点です。

作業現場では、委託会社のスタッフが直接作業にあたる場合と、下請けや孫請けの派遣スタッフが作業にあたる場合があります。

また商品に関わるのは、委託会社の倉庫だけではありません。入荷前、出荷後の配送ドライバーや配送業者の仕分けスタッフなどさまざまな人が関わります。

破損や紛失などトラブルの際に、原因が不明瞭にならないよう検品をしっかり行うことを前提に、委託会社の元請けとしての責任を明確にしてきましょう。組織体制や運営フローの確認も重要です。

物流アウトソーシングを導入する際の流れ

配送作業する女性

物流アウトソーシングの導入は、以下の流れで進めていきます。大まかな流れをつかみ、スムーズなスタートを目指しましょう。

  1. 委託会社を選定する
  2. 見積もりを依頼する
  3. 業務委託契約を結ぶ
  4. 業務の委託を開始する

まずは委託会社を選定します。扱っている商品のジャンルや対応できる出荷量、業務の範囲などを参考に比較して決めましょう。このとき、物流業務に対する課題や現状の業務フロー、物量を共有できるように、社内で洗い出しをしておくことが重要です。

次に見積もりの依頼です。明細に対し、どこまでの作業や料金が含まれているか内容に注意しましょう。後から大きな追加費用が発生しないように要望を網羅しているか確認し、予算内に収まっていれば、契約に進みます。

業務委託契約を締結する際には、「業務委託契約書」の内容をしっかり確認してください。委託業務内容や業務委託料、損害賠償請求、有効期間・中途解約についての項目は特にチェックしたい部分です。不利益を被ることのないように留意しましょう。

契約を結び終えると、業務の委託を開始できます。なるべく出荷を止めずスムーズに移行できるよう、在庫の移動を行います。委託会社によって、移行に時間を要する場合もあるので事前に確認しておくと良いでしょう。

物流アウトソーシングを委託する業者の比較ポイント

JPロジスティクスの提供サービス図

物流アウトソーシングを導入する際には、委託会社の選定が重要です。契約を進めて、在庫を移動してしまうと、倉庫を移転するにはお金と労力がかかります。一方で、委託会社の選定に失敗し、倉庫を移転した話はあとをたちません。以下のような比較ポイントを押さえて、後悔しない委託会社を選びましょう。

  • 自社の物流の課題に対応できるか
  • 定額系かカスタム系か
  • 見積もりの内容が明確になっているか
  • 導入後のサポートが充実しているか
  • 実績があるか

自社の物流の課題に対応できるか

自社の物流課題に対応できる委託会社かどうか、見極めましょう。それには、物流の課題を明確にしておくことが必要です。

  • セール時の出荷量に対応したい
  • リードタイムを短くしたい
  • 誤出荷やミスを減らしたい
  • 短期間・小ロットだけ委託したい
  • 賞味期限管理をしたい
  • 流通加工を任せたい
  • 複雑な検品を任せたい

これらの課題は、すべての委託会社が対応できるわけではありません。価格の安さだけにとらわれないようにしましょう。現状だけでなく、事業拡大を見越して対応できる範囲も比較しておきたいポイントです。

定額系かカスタム系か

物流アウトソーシングの委託会社を比較するポイントとして、料金体系も挙げられます。主に定額系とカスタム系の2種類です。

定額系は、「商品サイズの料金×保管日数×個数」と「配送料」といったシンプルな料金体系のサービスを指します。定額で明示されているため、初心者にもわかりやすく、小規模事業者から始めやすいことが特徴です。一方で、対応できる業務の幅は狭い傾向にあります。

カスタム系は、運用に合わせて商品1個あたりの料金が変動します。ホームページ上では「料金は問い合わせ」とされているケースも多く、導入には要件定義が必要でしょう。温度帯管理やギフトに対応する流通加工、他拠点展開など、サービスをカスタマイズして細やかな対応を求める場合はカスタム系がおすすめです。

委託したい業務が基本業務のみの場合は定額系。柔軟な対応を求める場合はカスタム系を選択するとよいでしょう。

種類 メリット デメリット
定額系 シンプルな料金体系 対応できる業務の幅が狭い
カスタム系 柔軟な対応が可能 要件定義が必要

見積もりの内容が明確になっているか

見積もり内容の明確さも注意して比較しましょう。見積もりは同じ条件に揃えて比較することが肝要です。しかし委託会社によって明細が異なるため、比較しづらい傾向があります。

例えば「発送代行手数料」に「入庫料」と「出庫料」が含まれている場合もあれば、含まれていない場合もあります。「梱包料」に「梱包資材費」が含まれている場合もあれば、そうでない場合もあります。思いがけず別料金になれば、見積額も変わってくるでしょう。

どの明細に何の費用が含まれているかを明確にして、月間想定トータル金額や1つの配送にかかる金額で比較してください。

導入後のサポートが充実しているか

物流アウトソーシング導入後のサポート体制も比較したいポイントです。軌道に乗るまでのフォロー、定期ミーティング、トラブル時など、対応の有無や方法を確認しておきましょう。

特にトラブルによっては、対応の早さが顧客満足度に影響する可能性もあります。担当者と直接連絡が取れる体制とカスタマーセンターを経由する体制に分かれるため、あわせて確認してみてください。

実績があるか

実績も比較しましょう。取扱実績数は、品質の良さに比例する部分があります。熟練した技術や専門知識を有したスタッフが在籍している可能性が高いからです。

また、以下のジャンルは製造業許可を取得している委託先を選定しなければなりません。

  • 化粧品
  • 医薬品
  • 医療機器
  • 医薬部外品

他にも冷蔵・冷凍などの温度帯商品やアルコールなどの危険物を委託する場合には、設備を有した倉庫である必要があります。自社商品と同ジャンルの取扱い実績と導入事例をチェックしましょう。

物流アウトソーシングに関するよくある質問

検品するスタッフ

ここで物流アウトソーシングに関するよくある質問にお答えします。

自社物流と物流アウトソーシングの違いは?

自社で物流業務を担う「自社物流」と専門業者に物流業務を委託する「物流アウトソーシング」では、その特性上強みや向いている事業者に大きく違いがあります。

自社物流では、設備や施設を準備しなければなりません。物流センターの賃貸もしくは自社倉庫の購入といった保管場所の確保から始まり、マテハン機器、配送車両、在庫管理システムを購入するなど設備・施設に大きな投資が必要になります。広義では、事務所の一角で商品を保管して、宅配・路線業者に配送依頼をする場合もあるでしょう。いずれにせよ、物流業務に関わるスタッフの確保しなければならないため、社内のリソースが必要になります。

自社物流は、物流部門も含めて商品価値を強化できることが強みです。資金力とリソースに余裕のある企業が自社物流を構築する傾向にあります。

一方、物流アウトソーシングでは設備や施設を用意する必要がありません。スタッフの確保もすべて委託会社に一任できるため、大きな投資をしたり、リソースを割いたりせずに、売上をあげる施策に集中できます。

効率的に事業を成長させられること、そしてプロの物流品質を享受できることが強みです。物流アウトソーシングは、社内のリソースで手が回らなくなり始めた中小事業者に多く選択されています。

大手の物流アウトソーシングの委託会社はどこ?

最後に大手物流アウトソーシングの委託会社を紹介します。

大手の物流アウトソーシングの委託会社

  • 日本郵便株式会社
  • 三井物産グローバルロジスティクス株式会社
  • ロジスティード株式会社
  • SBSロジコム株式会社
  • 株式会社富士ロジテックホールディングス

日本郵便は、EC事業者の物流業務を支援するソリューションを提供しています。商品の保管、ピッキング、流通加工だけでなく、郵便・物流のネットワークを強みに配送までをワンストップでお任せいただけるサービスです。

「短期間だけ」のスポット作業、「小ロットだけ」の一部物流作業もフレキシブルに対応。複数ECサイトの受注情報を一元管理できる受注システム、消費期限管理や同梱物にも対応できる倉庫管理システムを活用し、ニーズに合わせた物流のオーダーメイド設計にお応えします。

日本郵便の強みを活かした、リードタイム短縮や複数拠点展開も可能です。エンドユーザー様には、コンビニ受取、郵便局受取など豊富な受け取りサービスを提供できます。ぜひお気軽にお問い合わせください。

参照:ワンストップ物流ソリューション

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まとめ

物流のアウトソーシングは、物流業務に限界を感じた事業者に多く活用されています。コスト削減の可能性も視野に、プロの安定した物流品質を享受できるため、検討する価値は大いにあるでしょう。

一方で、細かい業務に対応できない委託会社もあります。委託会社の選定段階や見積もりの際に、現状のオペレーションを整理しましょう。積極的な情報共有が、自社にあった委託会社への出会いに繋がります。

日本郵便はこれまでのノウハウやネットワークを活かし、EC事業者向けに物流業務の支援を行っています。課題解決に向けてご提案させていただきますので、まずはお問い合わせください。

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